樹木害虫について

ドクガの生態について

ドクガ
  • 成虫体長…雄:10~14㎜、翅長:22~30㎜
    雌:12~15㎜、翅長:30~40㎜
    体色…前翅の中央に「くの字」状の紫褐色の帯状紋が
    あり、その両側縁は白色鱗粉が多く、白く隈取
    られたように見えます。先端付近には2個の黒
    点を持ちますが、無いものもいます。
    体形…触角は雌雄とも櫛歯状で、雌の方が短いです。雌の腹部は太く、尾端背面には長い尾房毛を持ちます。
  • 幼虫体長…1齢:約2㎜、終齢:30~40㎜
    体色…1齢では頭部は黒褐色、胴部は黄色をしており、齢期が進むにつれ褐色を帯びます。終齢幼虫は、全体が黒色毛で覆われ、胸部中央背面や腹節中央部、胸・腹部下部側面、第9腹節気門上下線は橙黄色となります。
    体形…2齢になると第1腹節に毒針毛の叢生部が黒斑として現れ、以後齢期が進むにつれ各節に増加していきます。終齢幼虫では、毒針毛は600万本になると言われています。

年1化の発生で、成虫は6~7月に出現します。卵は、卵塊として植物の葉裏に200~700個産み付けられ、尾房毛で覆われます。幼虫の経過齢数は、気温、食草などで異なり、11~17齢で終齢となります。幼虫は、越冬前までは群居性を持っていますが、終齢に近づくと分散し、この時期、毒針が最も発達しており、非常に危険な時期となります。蛹化は、木の幹の窪みや下草などで行われます。

ドクガの被害について

ドクガの毒針毛は、幼虫、蛹、繭、成虫に持ちます(ただし、卵塊を覆っている尾房毛にも毒針が付着しています)。毒針毛に触れると、皮膚に痒みと発疹が生じ、激しい痒みを伴うじん麻疹様の皮膚炎(ドクガ皮膚炎)を起こすこともあります。場合によっては、頭痛や発熱を伴うこともあります。刺されると数時間後にピリピリとした感じと強い痒みを感じ、症状は2~3週間続きます。
多い被害として、ドクガが街灯に多数飛来し、その時に撒き散らされた体毛や鱗粉とともに、毒針毛が皮膚にすり込まれることによって起こることがあります。しばしば大発生することが知られ、過去に多数の被害を出したことがあります。

主に4~10に被害が集中します!!!

 

アメリカシロヒトリの生態について

アメリカシロヒトリ
  • 成虫体長…雄:約13㎜、前翅長:14~15㎜ 雌:約13㎜、前翅長:16㎜ほど
    体色…頭部や胸部、翅は白色で、前翅には多数の灰黒点を生じます。
    体形…触角は、雄は櫛歯状、雌は歯牙状

 

  • 幼虫体長…終齢で約30㎜
    体色…1齢幼虫は頭部は黒色、胴部は淡黄色で、黒色の小瘤起を持ちますが、成長するにしたがって灰黒色を帯びます。終齢幼虫は、頭部は光沢の
    ある黒色で、側線より背面は灰黒色、側面は淡黄色で不規則な斑紋が散在しています。
    体形…細長い円筒形

卵は卵塊として葉の裏に300~800個ほど産み付けられ、白色毛で覆われ舞ます。幼虫は4齢ほどまでは糸を張って集団で生活をし、その後は分散します。越冬は、樹幹の割れ目や樹皮の隙間に潜りこんで蛹化し行います。 年2化あるいは3化とされていますが、年平均気温が約12℃以上の地域(関東中南部以南)で年3化になると言われています

アメリカシロヒトリの被害について

ドクガなどのように、毒針毛を持っていないためヒトへの直接的な被害はありませんが、大発生すると樹木を丸坊主にすることがあります。特に、第2化の幼虫が現れる8~9月に最も被害が大きくなります。駆除は早期に行うことが好ましく、幼虫はクモの糸が絡んだような袋状の巣を作って集団で生活しており、また、葉の表皮部だけを残し食害するため葉が白く見え、これが発見のポイントになります。幼虫は6・8月頃に発生するので、この時期に確認し、対処してください。被害が広範囲にわたってしまった場合駆除が難しくなります。